山陰豊岡 創業1930年 ヒグラシコーヒー

当店について

創業90周年のコーヒー専門店です。

1930年、昭和5年創業。

 
当店が産声を上げたのは昭和5年、戦前の大恐慌の最中でした。当時まだ非日常のものだったコーヒーを、兵庫県北部、山陰地方と呼ばれる陸の孤島で広めようと開店しました。
 兵庫県といえば神戸港という海外との貿易が盛んな港があり、文化の交流も盛んだったのではないかと思われる方も多いと思います。しかし、ここ豊岡は今現在でも高速道路がなく、新幹線も通らず、なんと京都・大阪・神戸のどの大都市とも片道3時間近くかかるのです。当時はおそらくもっと交通の便も悪く、情報の交換もなかったでしょう。
 そんなこの地で初代店主はコーヒー店を開業したのです。夏の終わりの事でした。カナカナカナ・・・とヒグラシが鳴いていたころ開店したという風に伝えられています。

 写真:「移動喫茶室」と銘打って。蝶ネクタイ姿が初代店主。

その横の金色に輝くあやしげな機械はコーヒーアーン(保温ディスペンサー)です。
 
 

右/昔の本店外観を描いたガラス絵(裏から着彩)
左/当店のメインイメージのひとつ。字をみると「コヒー」(笑)

珈琲文化。

 
 
コーヒーをただの飲食物として供するというより、コーヒーが介する様々なものを通して新しいものを生み出していこうとした初代。本人がカメラが好きで写真を撮ったり、各地に出かけていって出張カフェをやったり、来店される画家と交流を持ったり・・・外国のカフェーと同じです。
 文化としてのコーヒーを但馬に地に根付かせるべく、奮闘していたようですが今でも残る当時のチラシやポスター、写真を見る限りでは自らも楽しみながらだったのではないでしょうか?
 

  imgp9517.jpg 焙煎機1 pc120497.jpg 焙煎機2 pc120527.jpg 焙煎豆1 img20201104040317911097.jpg 焙煎豆2

 自家焙煎

 

 ヒグラシは創業後すぐに自家焙煎も始めています。コーヒーそのものがまだ出始めの当時、焙煎機なんてそう簡単に手に入るものではなく、どういう構造の機械かもよくわかっていなかったそうです。それが何を思ったか知り合いの鉄工所に頼んで作ってもらったのが今も現役で使われている鉄釜の薪火焙煎機。ポン菓子の機械みたいな外見ですが熱の通りの良い鉄釜と薪の火でじっくり煎られた豆は芯まで火が通り独特の風味を持ちます。
 しっかりと火を加える深めの焙煎は機械が新しくなっても続き、ヒグラシの焙煎の特徴となっています。

山陰豊岡 

 
兵庫県の北部、日本海側に面するここ豊岡市。
ヒグラシ珈琲本店は合併前の旧豊岡市中心市街地にあります。
寒暖の差が激しく日本海側故の天候に優れない日も多いですが、豊富な海と山の幸や海水浴やスキーといったレジャーも楽しめ、城崎温泉を擁する城崎や皿そばで有名な出石町もここ豊岡市内になります。
 
市街地は合併前の旧豊岡市の中心地であり、鞄産業やコウノトリが有名です。交通網が整備される以前は円山川流域を行き来する船舶の船着き場があり、山陽方面と日本海側の鳥取、京都方面を繋ぐ要所としても但馬地方の経済の中心地でありました。
 
市内各所には昭和初期に建てられた近代建築物群が点在し、その多くは1925年に起こった北但大震災からの復興建築群。
当店大開通り本店もその一つになります。

 
ざっくりとですがこの辺りが豊岡です